レシムノに憧れて

雑記以外の何物でもないです。趣味はエコとギリシャです。

ザゴリア2

はじめは、バス停から歩いてすぐの清流で足を浸して、水に濡れた靴を岩に干したりして、このまま帰りのバスの時間までのんびりここで過ごすつもりでいました。
でも、そこに、麦わら帽子をかぶった、スナフキンみたいな雰囲気の外国人旅行者が「ヤーサス」とギリシャ語で挨拶をしながらやってきました。きれいな水ですね、とか、最高に気持ちのいいところですね、なんて挨拶をしていたら、この先のハイキングコースにはいかないの?僕らは行くよ、と連れのメガネの真面目そうな雰囲気の男性を指差して言いました。私はここまで、と答えて見送ったものの、なんだか急に行けるなら行ってみたいな、と思ってしまったのです。

適当なとこで引き返してバスに間に合うよう帰ってこよう、と思って出発しました。本当に軽い気持ちでした。

結果的には、遭難したわけでもなく、道に迷ったわけでもなく、信じられないような絶景を、叫び出したいくらい美しい景色をこれでもかというくらい、自分の中で整理がつかないくらい、一生分?というくらい見ることができました。

でも、ハードでした。

幸いなんとなくこっちかな…という雰囲気が常にあったので、右?左?なんて分岐点はなく、進む方向を迷うことはなかったものの、進む道に蜘蛛の巣がかかっていたり、突然ちょっとした楽園みたいな空間があって、花が咲き乱れ蝶が舞う中に黒い牛が寝ていたりしました。あまりに手付かずの自然感が強くて、ここであってたの?!間違えたんじゃ⁉︎と何度も思いました。そして誰ともすれ違わない。誰とも会わない。前にも後ろにも誰もいない。さっきの男の人たちは?道には迷わなくても、ここであってるのかが常に、ずっと不安でした。
しかもその道は基本すぐ横が崖、だったりしました。私ここで足滑らせても、誰にも見つけられないだろうな、と揺るぎない自信が隣り合わせでした。
最大のピンチは、いえその日の中の最大のピンチではなく、今でも人生最大のピンチだったと言える出来事は、そのすぐ横が崖の道なき道を泣きそうになりながら進んでいると、行先の道のど真ん中で、大きな蛙がじっと動かず座ってこっちを見つめているのに気づいた時でした。
続く