レシムノに憧れて

雑記以外の何物でもないです。趣味はエコとギリシャです。

あけましておめでとうございます

久しぶりの更新です。
といっても、本当に細々と、ちんまりと書き綴るブログなので、誰かが更新を待ってるということもないのですが。
かといって、自分の覚書のためだけに書いているというのともまた違い、やっぱり発表してるという心持ちでは書いています。

新年ということで、好きなものに対する思いを書いてみようと思います。

ドキュメンタリー作家の森達也さん。

私はこの方との出会いで、人生が少し、一見少しですが、実は生き方が大きく変わった気がします。
もちろん実際に出会ったわけではなく、この方のドキュメンタリーをたまたまテレビで見て、それから著作を読んで、一作ごとに何度も何度も既成概念をひっくり返されました。既成概念という四文字熟語を使うのもおこがましいくらい、意識もせずちゃんと考えてもせずカテゴライズされてたものが、なんてたくさんあったのだろうと。
でも森さんはそれについても理由をとことん明らかにしていきます。
世間がこういう価値観に流れていったのは、まず一斉にこの記事が出て、コラムもこういったメンバーを選んで載せた、とか、主観をなるべく抑えて事実を並べたとしても、並べた順番でやはり印象が変わってしまう。など、偏った価値観に対してすら、フェアでフラットな態度は揺るぎません。だから、読んでいても説き伏せられてるようで居心地が悪くなるようなことも、価値観を押し付けられてるような窮屈なこともなく、自分の頭で得心していく、という心地よさ。

そして何より、森さんがアピールしたいわけではなさそうな優しさがどうしてと滲み出ています。

自分が優しくしたい人には、優しくしたい。そう思いました。

例えば、昔こんなことがありました。
いつも明るくて面白くてムードメーカーな男性。その人を含め、当時は彼氏だった夫と私と、もう一人四人で会う約束がありました。
当日になって夫が風邪をひいて、とキャンセルしました。
私はその当時夫がすぐに身体の不調を訴えるのを正直めんどくさく思っていました。自己管理ができてないし、少々しんどくても私なら約束は守るよ、とそのときも苦々しい思いでした。
そして、3人であった時に、2人に夫が風邪で来られないことを伝えました。私は、自分の彼ということで身内扱いをして、いやほんと体弱いですよね、もーすいませんまったくほんとに…みたいな言い方をしました。そのムードメーカーの彼がそうなん??弱いなー、などと笑ってくれて彼に対してイライラしている自分の溜飲が下がる、というつもりでいたのだと思います。もう一人の女友達も、私に賛同するような返しをしてくれました。

でもそのムードメーカーの彼は、本当に心配そうな顔で、無理しないほうがいい、うん。と言いました。

その彼の発言こそが正しくて、自分の冷たさを大いに反省した、という話ではありません。何が正しいということはないです。その時の私の気持ちも、もちろん反省などありますが、自分の気持ちを否定してしまうことはないと思います。

そこではなく、その人が、私が水をかけてて、会話の流れも方向性もつけてたにも関わらず、その流れに反するような自分が思ってる優しい気持ちを、そのまま言葉にしたことに、ひれ伏したい気持ちになったのです。
別に冷たい私を非難する目的も持たず。優しい自分を現したいという目的でもなく。

優しい気持ちをすっと出せる人。を私は尊敬します。

さらにいえば、もともとそういう優しい気持ちを持てる人にならないと出すもんも出ないとは思うのですが。そこはまた別の話ですね。

周りの価値観や自分の中の邪魔している既成概念、それは本当に価値のあるものなのか?幻想ではないのか?
何かが邪魔して自分の気持ちの通りにできないときは、森さんのようにとことんその何かと対峙して溶かしていくことをしてみようと思います。

人には色んな側面があって、真実とか、白黒つけられることなんて本当はないので、わからないことばかりあってとても悩むし迷います。
目の前に差し出された価値観を受け入れれば、もう考えなくていいから楽ですが、たまには立ち止まって、本当に自分で考えるようにしたいなと思います。